コロナで分かった肺炎の怖さ

新型ウィルスコロナに関する情報が
あらゆるメディアから報道される日々。
コロナの感染拡大に不安を感じる中、
肺炎で死んじゃうってことがあるんだ…
と驚かれる声をお聞きします。

肺炎って、何となく風邪の延長上というか
『酷いタイプの風邪』みたいなイメージがあって
かかったとしても「薬で治る病気」と思っていた方ってけっこう多いのではないでしょうか。
風邪をこじらせて免疫力が落ちたところに
細菌やウイルスが入って肺炎になるというケースもありますが
薬で簡単に治る病気ではない
ということはぜひ知っていただきたいです。

昨年の日本人の死因順位で肺炎は第5位。
現在は「肺炎」と「誤嚥性肺炎(これについては後程)」は
死因分類が分けられているのですが、
この二つを合わせると順位は3位に上がります。
肺炎は亡くなる可能性がとても高い病気ということなんです。
※詳しくは厚生労働省の
平成 30 年(2018) 人口動態統計月報年計(概数)の概況
をご覧ください。

肺炎は、ざっくり言うと、細菌やウィルスなどの病原体が肺に入って炎症を起こす病気。
実は私、小学生の時に肺炎にかかったことがあるんです(-_-;)

私は幼い頃からよく風邪をひいてまして、
熱や咳が出たり、喉が痛くなったり、
しょっちゅうガラガラ声になったりしていました。
思えばこれは、風邪のウィルスが鼻の奥や喉に付着して
起こっていた症状。
ちなみにインフルエンザは
風邪ウィルスよりもっと強い感染力を持ち、重い症状になる
「インフルエンザ」というウィルスによる感染症です。

私が肺炎になった時は、
咳が出たり喉が痛くなった記憶はなく、
急に異様な寒気がして(いわゆる悪寒)
体が妙に動かなくなり(いわゆる倦怠感)
胸のあたりが痛くて息苦しい感じ(いわゆる呼吸困難)
がありました。

子供ながらに「これは尋常ではない」
と感じたことをはっきりと覚えているほどです。
一度横になったら全く起き上がれなくて
同じ部屋にいた妹に(当時小学1年生…だと思う)
「ちょっと体温計持ってきて…」と頼んだら
私の顔を見るなりビックリした顔で
「おかあさ~ん!おねえちゃん顔真っ赤!」と妹が母を呼び
慌てて部屋に入って私の熱を測ってくれた母が、
その体温計を見て卒倒しそうになったことまでは覚えています。

その後どうやって病院に行ったのか・・・(´Д`)?
今、思い出せるのは
太い注射器で採血されたのが怖かったことと、
「お母さん、これは大変ですよ」というお医者さんの声。
後日、母からレントゲンや尿検査もしたよと聞きました。
私の肺に炎症を表す白い影が広がっている画像を見て
母はショックでめまいがしたそうです。

今こうして元気に生きているので無事治っています(笑)
大人になってから、あの時の症状を調べてみましたが
あれは『肺炎球菌』という細菌による肺炎だったと思われます。

肺炎球菌は日本人がかかる肺炎の中では最も多い原因となる細菌だと言われています。
私は突然の高熱と倦怠感、呼吸困難などの症状でしたが
湿った咳や濃い色味を帯びた痰が出ることも多いようです。
一般的には、原因となる細菌に合う抗菌薬(抗生物質)
を投与して治療します。私の時は飲み薬だったと思います。

肺炎には私がかかった『細菌性肺炎』の他に
ウイルスによる『ウイルス性肺炎』があり
新型ウイルスコロナによる肺炎はこれにあたります。
ウイルスは菌ではないので、抗菌薬は効きません。
原因となっているウイルスに有効な抗ウイルス薬じゃないと治療が難しいということ。。。
今はまだコロナそのものに効く治療薬ができていないので
感染したら死に至るのではないか…と世の中が恐怖に包まれ
『予防』の大切さが訴えられています。

コロナによる肺炎で亡くなられた方の多くは高齢者だそうです。
今回のコロナに限らず、肺炎はどんな病原体によるものでも
高齢者の場合は
かかりやすく、症状が出にくく、重症化しやすいので
本当に注意が必要です。
健康な人は口や鼻から入ってきた細菌やウイルスを
喉でシャットアウトしたり、
体内に入った異物をやっつけるために熱を出したりします。
この免疫機能が高齢になると低下してしまうので
咳や痰で病原体を外に出す力も、
身体の熱を上げて病原体を打ち倒す力も弱くなるんです。

こういうことから、高齢者の場合は
病原体が肺まで到達して炎症を起こしやすく、
熱や咳があまり出ないので肺炎になっていても気付きにくい。
また、高齢者や重い病などで長く闘病されている方は
飲み込む力が弱くなっていることで
唾液や飲食したものの一部が気管に入ってしまい、
それらが肺で炎症を起こす『誤嚥性肺炎』になる可能性が高いです。

介護施設では「いつもと違う」という利用者様の様子の変化を
見逃さないように常に気を配っています。
それでも肺炎になってしまって、あっという間に亡くなられる方もたくさんいらっしゃいました。

新型コロナウイルスという初めて知る見えない敵に
強い恐怖を感じながら過ごす毎日ですが、
今、私たちにできるのは
もっと『肺炎』について知っておくこと
あらゆる病原体から身を守るために予防を徹底すること
免疫力や体力を上げ、病原体に負けない身体を作ること
だと思います。

私たち一人一人が高い意識を持つことが大切なのではないかと・・・。

どうか皆様が万全に予防・対処され、
ご自分や周りの方々のお身体を守られますように。
そしてこれ以上、コロナによって亡くなる方が増えないよう祈るばかりです。

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